勤務している会社が倒産してしまいました。
未払の給料はどうなるのですか?

未払いの賃金を回収することは困難が伴いますが、不可能ではありません。そのためには、公的救済措置である「未払賃金立替払制度」を利用するという方法があります。
この未払賃金立替払制度が適用されるのは、

のいずれかの場合です。
①の場合は、裁判所や破産管財人に、②の場合は労働基準監督署に、賃金未払いの証明書を交付してもらいます。何れの場合も、賃金台帳やタイムカードなど、賃金が未払いであることを証明する資料が必要となりますので注意しましょう。もし、雇い主側がこれらの書類を隠匿したような場合などは、別途労働基準法で処罰の対象となります。このような場合は特に、専門家である弁護士に依頼して、適切な対応を取ることをお勧めします。

次に、未払賃金立替払制度で支払われる金額についてですが、原則として未払い賃金の80%です。しかし、この前提として、年齢によって未払い賃金の上限額は定められています。具体的には、30歳未満の場合が88万円、30歳以上45歳未満の場合が176万円、45歳以上の場合が296万円です。したがって、未払賃金立替払制度を利用する場合は、この上限額の80%が最大支給額と言うことになります。
また、未払賃金立替払制度は退職した日から半年以内に申請する必要がありますので気を付けましょう。

この他にも、未払い賃金を取り立てる方法として、仮差し押さえ、先取特権に基づく差押えをすることが考えられます。
仮差し押さえとは、会社の資産を保全する措置のことをいい、早ければ裁判所に申立てをしたその日のうちに仮差し押さえ命令が出される場合もあります。
先取特権とは、給料の最後の6カ月分については、会社の取引銀行や一般債権者より優先して、会社の財産から給料の回収を図ることができる制度のことを言います。この先取特権に基づく差押え命令が裁判所から出されるまでには、申立から最低でも3~4日は掛かりますので、緊急を要する場合は、先に仮差押えの申立てをしておくとよいでしょう。
何れの場合も、裁判所で手続を行う必要がありますので、専門家である弁護士に依頼されることをお勧めします。

なお、賃金や賞与の請求権は2年で時効にかかるので、請求する際には注意が必要です。

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